訪問介護や通所介護などの現場で、苦手な利用者がいるという介護士も少なくありません。会話が続かない、寡黙な人などさまざまな理由があることでしょう。やはり会話が成り立てば、相手の人柄を断片的にでも知ることができますし、楽しい時間を過ごしてもらうこともできます。利用者との良好な関係性を築くためには、適切なコミュニケーション技術を身につけることが重要です。
もし会話が成り立たない、話題に詰まったという場合は、好きな歌や有名人の話を聞いてみることをお勧めします。世代間のギャップを感じる話題かもしれませんが、高齢者にもいわゆる「推し」を持っていた時期があったかもしれません。「好きな歌はありますか?」や「好きな有名人はいましたか?」と聞いてみると、言葉が出てくる可能性が高まります。介護士はその話を聞き、当時のカルチャーを調べてみると話題の提供などができるようになるでしょう。
生まれ育った地域の話も効果的な話題の一つです。出身地などを聞いてみるのも一案でしょう。他の地域で生まれ育ったというならその土地の話を聞く、なぜ今住んでいる土地に来たのかなどバリエーションが広がります。また、生まれも育ちもこの地域というのであれば、今と昔の違いを聞いても良いでしょう。ただし、高齢者の中には生まれ育った土地にイヤな思い出を持っていることがあります。暗い話の内容でも、高齢者が話したいのであれば傾聴してください。
この他にも、若い頃の苦労話や子育ての話など話題のいとぐちはたくさんあります。どんな話の内容でも、丁寧に話を聞くことを心がけることが大切です。介護士自身も勉強の一つと受け止めて話を聞いてみましょう。利用者の過去の経験や思い出に興味を持ち、共感の姿勢で接することで、より深いコミュニケーションが生まれ、信頼関係の構築につながります。